ペトリコール - forget me not -

雨上がりの匂いと勿忘草

わたしたちはいつでもハッピーエンドを待ってるの

2018.02.04 19:40 渋谷の片隅

 

関東に出てきてから

自宅以外で過ごす時間が1番長い街は渋谷だ。

 

いつのまにかどこに何があるかが把握できていた。お気に入りのコーヒー屋さんや映画館もある。表参道への行き方も、代官山への行き方も徒歩でわかる。

 

お世辞にも綺麗とは言えない街。

人混みと音と光で埋め尽くされている街。

 

 

28歳のわたしにはいささか若い街だと思う。

 

 

でもわたしはこの街が好きだ。

 

 

ただ通り過ぎて行く人混み。

その人混みの中はなんだかホッとする孤独。

 

 

他の街に比べて雑多なこの街は、

目的もなくふらふら歩いている

寄り道しながらふらふら歩いている

そんな人たちばかりだ。

 

その右往左往をする人混みの間を

コートのポケットに手を突っ込んで

風を切るように1人颯爽と歩くのが好きだ。

 

 

この街で

目的地にまっすぐ歩いて行ける自分が

なんとなく好きだ。

 

地に足をつけて

わたしは生きていて、歩いていて

その先には目的地があって

 

そんな当たり前のことを

思い知ることができる街。

 

きっと違う街が拠点になれば

わたしはその街のことも好きになるだろうけど

 

初めて自分で開いた道のある街は

一生特別な街なのだろうという予感もある。

 

 

この街に埋もれることが心地よい。

 

誰もわたしを知らない

誰もわたしに足を止めない

誰もわたしに興味を持たない

無色透明な自分と

無色透明な他人の群れ

 

 

人混みの中の孤独という

妙な安心感と絶妙な不安感が

身体の中に染み込んでいく感覚。

 

 

電車を降りると同時に上げるイヤホンの音量。

人混みを通り抜ける歩幅は狭く、けれど足早に。

 

今日もわたしは無色透明だ。

 

 

 

thanks for comming! see you.