絵文字を文末につけておくのも忘れない。相手の気持ちを気持ちをどれほど先に読み取れるか、何を欲しがっているか、その言葉を今言ってあげるのか、焦らして待たせるのか、そんな勘繰りばかりで日々を渡ってきた。
4年ぶりくらいに会社員に復帰した。
ボーナスも福利厚生もしっかりあって年収600万円の企業を断って、ボーナスもなく社会保険しかない年収360万円の企業を選んだ。
理由は色々あるのだけど、結局わたしは内実よりも見栄を取ってしまう人間なんだろう。
年度末に失ったものや、メルカリで断捨離されていったお洋服や靴たち。その隙間に新たに仕事というものが入った。
どんな生活になっていくだろう、これから。
最近は少しだけ小説を読む時間が増えた。学生時分のごとく恋愛小説ばかり読んでいる。
いま読み進めている小説のお気に入りの一節を持ってきた。先回りしてこちらから誘われにいく。紳士だな、と思った。
他の著書も読もう、と思ったのは『白い薔薇の淵まで』だ。女性同士の恋愛小説を読んだのは初めてだ。
不思議だった。
官能小説ばりの嫉妬も肉欲も愛憎も詰め込まれているのに、不快感も不潔感もなく、ただただその想いの深さに頭が下がる思いだった。
読破して間もない頃にたまたまお酒の席である女の子に出会ったのだけど、なぜだかとても惹かれて恋心を抱きそうになったくらいには影響を受けた。
いまこれを書いていてふと思ったのだけど、わたしはいま寂しいのかもしれない。投影するとは誰かの人生を借りて誰かに愛されたり誰かを愛したりを疑似体験しているのかもしれない。
そういえばタトゥーも増えた。
また入れたいモチーフもできてしまったのだけど、それは結構高額になりそうだからしばらく我慢。
そろそろ入れる場所が少なくなってきてしまった。何にも入っていないまっさらな身体を美しいと思う気持ちもあるので、表から見るわたしは未だにまっさらだったりする。となると、残りは腰あたりしかない。でもタトゥーはアイデンティティでありファッションでもあるので見えるところに入れたい気持ちもある。
今回増えたのは足首とうなじ。
足首は今まで入れた中で1番痛かった。だからかどうかは分からないが1番気に入っている。
入れたのは蛇。
ギリシャ神話における蛇は医療・医術の象徴とされ、WHOのシンボルマークにもなっているらしい。
干支においては探究心と情熱の象徴であり、インドにおいては生命力の象徴で交尾を通して発せられるエネルギーが生命を創り出すということで命やセックスシンボルでもある。
そのエネルギーを足下に宿して、これから力強く歩いていけるように。
社会人10年目らしい。よくぞ10年生きてきた。