ペトリコール - forget me not -

雨上がりの匂いと勿忘草

わたしたちはいつでもハッピーエンドを待ってるの

最後はみんな踊って、って

ニーチェなんて読んだことないけれど、どうやら彼が言いたかった結論は「踊る」ということだったらしい。

意味を問わずに、心と体を動かすこと。

何かを成し遂げることに意義があるのではなく、踊ること自体に意味を見出す。踊ることが生きること。


実際生きるにはお金を稼がなきゃいけないのだけど、哲学でいうところの「生きる」ということは、思考ではなく動くことらしい。


森山未來がダンスにのめりこんで今やようわからん表現者になっていってるのはこういうことなんだろうか。

役者の田中泯さんも踊りと農業で生きてるんだよな。


それでいうといい歳こいてライブやフェスやクラブのイベントに行きたいわたしは健全なのかもしれない。

音楽が好きなのは少し不健康だと思うのだけれど、確かに音にまみれて踊っているときは何にも考えていなくて、リズムだけ刻んでただただ動く物体と化している。

それもひとつの生きること、なんだろうか。


音楽が好きであることを不健康だと思うのは、たぶん厨二病だったからもある。

ただ、駆け込み寺が友人や家族ではなく音楽や本だったというのは、あまり健全ではない気もする。

小学生くらいの頃にやっていたトーク番組に『恋のから騒ぎ』というものがある。

わたしは10期だか12期だか、とにかくとある期のそれしか記憶にないのだけど。

エピソードトークの前に偉人が残した名言的なものが紹介されて、それが好きだったのだ。

古今東西、女は強かである旨の名言が多かった。

わたしが唯一覚えている期のメンバーに、ジャスミンと呼ばれる女性がいた。

ジアンビューティーという言葉がぴったりの女性で、特別美人な顔立ちではないのにやたらと美しく見えた。


たまたまYouTubeにアップされている動画があり20年ぶりくらいに見たのだけど、とにかく髪の毛がきれいだった。

サラサラでまとまりのある艶やかな黒髪。そして言葉遣いや話し方、所作に品があった。

当時の彼女は東大の大学院かどこかで心理学だか哲学だかを学んでいて、そこでニーチェの話も出てきたのだ。

将来ダンサーになりたいと語るジャスミンが「ニーチェも言ってんのよ、最後はみんな踊って、って」と話していたのが強烈に記憶に残った。

本を読みすぎてある日字が踊りだした、と言っていたけど、あながち嘘じゃないんだろうな。

踊ることが生きること、と、いつか悟る日がくるのだろうか。

紫外線を嫌っていたら夏が終わった。

踊る機会は訪れるだろうか。

thanks for comming! see you.